痛風は、男怪に圧倒的に多くみられる病気で、以前は患者の99%以上が男性でした。これは、女性の尿酸値が平均して男性のほぼ3分の2しかないためで、エストロゲンなどの
女性ホルモンが尿酸の発生を抑えていると考えられています。しかし女性も、中高年になって閉経を迎えると、女性ホルモンの分泌が減少するので、尿酸の量が増えます。それでも尿酸の平均値は、男性より約1.0~1.5mg/誰も低いため、通常の場合は痛風になる心配は少ないといえるでしょう。しかし近年、肥満やアルコール摂取量の増加などの生活習慣の悪化が、女性でも痛風になる人を増加させています。また、腎疾患の病歴のある人や、
高血圧症でサイアザイド系の利尿薬を服用している人も、高尿酸血症になりやすいので注意が必要です。定期的に尿酸値の検査をしてください。以前は、日本の社会は男性社会といわれ、男性は外で働き、女性は子どもを育てて家庭を守るというケースが見られました。現在は、女性の社会進出が増え、病気についても男女差が少なくなってきています。
長い間、痛風は、「40代以降の中年男性がかかる病気」でした。1974年ごろまでは、20~30代の痛風患者数は全体の20%にも満たないものでした。しかし近年、若い世代の痛風患者が急速に増えています。その背景に、この十数年あまりで生活環境が大きく変わったことがあります。第一の原因は、食生活の内容の変化です。特に若い人たちが食べるものには、動物性脂肪の多い欧米型の食品が多く、インスタント食品やファーストフードを、主食といっていいほど多く食べる傾向です。さらに、朝食を抜いたり、深夜に食事をとるなど、不規則な食生活が増えています。これらの食生活の欧米化や異変が、若い世代の尿酸の産出量を増やし、痛風の発症を招いています。
次がストレスです。ストレスといえば、日本がバブル経済で躍進していたころには、中高年の管理職の職業病のように考えられていました。しかし現在では、20代、30代どころか、小学生までが人間関係や受験勉強などによってストレスを感じているのが現状です。ストレスによる生活習慣の悪化、食生活の乱れによる肥満などがみられるため、いまの若い世代が中高年になったときには、現在の中高年者より痛風の発症率が高くなる可能性があります。このような食生活の変化と過剰なストレスが、若年層をむしばみ、痛風患者や痛風予備群をつくっている可能性があります。