糖尿病
日本の糖尿病の患者数は増加しつづけ、約740万人といわれています。さらに糖尿病予備群の人たちまで加えると、約2倍の約1620万人になるとされています。
糖尿病について
インスリン
インスリンは、血液中のブドウ糖(血糖)の量を調整するホルモンで、膵臓の中に分布しているランゲルハンス島といわれる組織から血液中に分泌されます。インスリンは、血液中のブドウ糖が体の組織にとり込まれるのを促進します。そしてブドウ糖が多すぎる場合には、肝臓でグリコーゲンにかえて貯蔵させてブドウ糖(血糖)を下げるように働きます。また、肝臓内に蓄積されているグリコーゲンがブドウ糖に分解されることを防ぎます。したがって、膵臓に障害が起こってインスリンの分泌が減少すると、血液中のブドウ糖がふえて血糖値が高くなり、やがて糖尿病になります。
ブドウ糖と血糖値
ブドウ糖は、私たちが活動するときのエネルギー源となる3大栄養素(タンパク質、脂質、糖質)の一つです。食物を食べることで体内にとり込まれた糖質は、消化器でブドウ糖に分解されると小腸から吸収され、血液にとけ込んで全身の細胞組織に運ばれてエネルギー源として使われます。余分なブドウ糖は、肝臓でグリコーゲンに変えられて肝臓や筋肉に蓄えられ、また、一部は中性脂肪となって脂肪細胞にとり込まれます。蓄えられたグリコーゲンは、ブドウ糖が足りなくなったときに再び分解されてブドウ糖に戻され、エネルギー源として使われます。健康な人では、血液中のブドウ糖の量(血糖値)は食事のあとに上昇しますが、しばらくすると低下します。血糖値は、血液の1デシリットル(㎗)中に含まれるブドウ糖の量がミリグラム(mg)であらわされ、単位はmg/㎗と表記されます。空腹時に血液中の血糖が126mg/㎗以上だと、糖尿病と診断されます。糖尿病は、おもに1型糖尿病(以前、インスリン依存型糖尿病と呼ばれていた型)と2型糖尿病 (以前、インスリン非依存型糖尿病と呼ばれていた型)の2種類に分類され、日本人の糖尿病の95%以上が2型糖尿病です。2型糖尿病は、中高年になって肥満や運動不足によってインスリンの作用が低下するために、血糖値が上がって発病します。
糖尿病になりやすい人
糖尿病になりやすい人の特徴をまとめると、次のようになります。この項目の中で、1つでもあてはまる人は要注意なので、糖尿病の検査をおすすめします。
①脂っこい食事が好き
②甘いものが好き
③20代のころにくらべると体重が20%
以上増加している
④運動不足である
⑤ストレスを感じることが多い
⑥早食いである
⑦満腹になるまで食べないと気がすまない
⑧間食をする習慣がある
肥満は、糖尿病を招く大きな原因です。脂肪を多く含む食品をたくさん食べ、運動不足がつづくと、エネルギーとして消費されない脂肪がどんどん内臓にたまって、インスリンの分泌や作用を妨げるようになります。
糖尿病の合併症
糖尿病の3大合併症は、糖尿病網膜症と、糖尿病腎症、糖尿病神経障害です。糖尿病網膜症を合併すると、網膜の血管が破れて失明することがあります。糖尿病腎症を発症すると、腎臓の血管がおかされて腎臓の機能が低下し、尿酸や老廃物をろ過できなくなるので、進行すると腎不全となります。糖尿病神経障害になると、自律神経と末梢神経がおかされ、手足がしびれたり、立ちくらみや便秘、下痢、膀胱などを起こします。
糖尿病を合併しない為の治療
痛風の人が糖尿病を合併しないようにするためには、食事療法で脂肪の多い食品を避け、摂取エネルギ1をコントロールして体重を減らし、糖の代謝異常をきたさないようにしなければなりません。糖尿病の治療の基本は、食事療法です。栄養士がカロリー計算して作った栄養バランスのよいメニューに従って、規則正しく食事をします。また、医師の指導のもとに適度に体を動かす運動療法を並行して行い、余分なエネルギーを消費させるようにします。運動療法は、体に負担のかからない軽い運動から開始し、体力に応じてウォーキングや体操、水泳などを行います。このようにして肥満が解消すると、インスリンの働きが高まって血糖値をコントロールしやすくなります。自分の体でインスリンを作ることができない1型糖尿病の人では、毎日最低2回、できれば毎食前と寝る前にインスリン注射をし、血糖値をコントロールします。また、2型糖尿病の人では、食事療法と運動療法だけでは血糖値をコントロールできない場合には、薬物療法を行い、場合によってはインスリン治療を行います。以上の糖尿病の治療は、専門医の指導のもとで行われます。