食事制限について
生命を維持するには、栄養を絶えず補給しなければなりません。そのため、食欲は強烈な本能になっています。ダイエットは、意志により食欲という本能をコントロールする作業といえます。
食事から体内に入るプリン体は少ない
痛風の治療の第1の目的は、尿酸値を下げて合併症を防ぐことです。そのために薬物療法を基本に、食事療法と運動療法が行われます。食事療法では、以前は尿酸を増やす、という理由からプリン体の多い食品を厳しく制限しましたが、現在では、尿酸を作るプリン体の約90%が体内で作られ、残りの約10%が食事によって体内に入ることがわかったので、プリン体が豊富な食品を大量に食べすぎない限り、プリン体を多く含む食品のみを制限することはなくなりました。それよりも、カロリーを制限し、栄養のバランスのよい食事を規則正しくとることのほうが、はるかに痛風の治療や合併症の防止に役立つのです。ただし、痛風の発作を起こしているときには、少しでも体内のプリン体の量を減らしたほうがよいので、プリン体の多い食品を控えることが必要なことに変わりはありません。
栄養バランスのよい食生活
カロリー計算をする
肥満体重と標準体重
肥満といっても、体のかっこうを見ただけでは、どれくらい標準体重をオーバーしているのかわかりません。まず、自分の標準体重と何kg太っているのかを具体的な数字で知ることが必要です。BMI[世界保健機関(WHO)が定めた肥満指数。体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)]による標準体重の公式に自分の身長(m)を入れて計算してみてください。標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22(BMI)「BMI22」を標準体重の指数と定めたのは、長期にわたって大勢の人の健康状態を追跡調査した結果、BMI22の人が、最も余命が長く、健康な生活を送っていると考えられたからです。BMI25以上は肥満と判定されます。この標準体重の公式を使って自分の標準体重と肥満体重を計算し、何kg減量すればよいのか確認してください。
腹八分目が肥満を防ぐ
肥満の原因は、ほとんどの人が食べすぎです。1日の消費エネルギー以上の栄養分をとりすぎているために、余分な栄養が脂肪となって脂肪細胞や臓器にどんどん蓄えられているのです。ダイエットにはいろいろな方法がありますが、まず、毎食、もう少し食べたいな、という満腹感の一歩手前の腹八分目で食事を終えることから始めましょう。おなかがいっぱいになるまで食べてしまう習慣を改めるのは、最初は苦痛かもしれませんが、始めてから2~3週間我慢すると、腹八分目でも、おなかがすかなくなります。重要なのは、長期間つづけられる食事療法、運動療法をすることです。適切な生活習慣が身につくと、体重は徐々に減少してきます。少食の習慣がつくと、たくさん食べようとしても、満腹感が早くやってきて、なんだか胃が小さくなったように思えるようになります。最初は、カロリー制限により体重は順調に減少しますが、カロリー制限をしていても、2~3カ月たつと体重減少のスピードが鈍ってくることもあります。その時点でまだ体重過多の場合は、カロリーの再チェックをしてください。摂取カロリーが多くなっていなければ、もう少しカロリー制限を強くする必要があります。
1日3食食べる
毎日一定のカロリーをとることが望ましいですが、もし食べすぎたときは、翌日に摂取カロリーの調整をしてください。昼食で食べすぎたときには、夕食を軽くする、夕食で食べすぎたときには、翌日の食事を軽くするなど、摂取カロリーの帳尻合わせは肥満防止に有効です。間食はできるだけ避け、また、深夜に食べると肥満がいっそう進むので、夜9時以降は食べ物を口に入れない習慣をつけてください。悪い生活習慣は生活習慣病を招き、よい生活習慣は生活習慣病を改善します。体重の計測は、毎朝、目が覚めて、トイレに行ってから朝食の前に行い、記録しておきます。グラフにしておくと、ひと目で体重の増減がわかりますが、1カ月ごとにはがき程度の大きさのカードに記入しておくだけでも、体重の変化は確認できます。