痛風初期症状

血液中の尿酸の濃度

私たちは、食事から栄養を摂取し、それを体内で代謝して吸収するとともに、老廃物を排泄して生きています。このメカニズムが不摂生や老化などによって乱れると、生活習慣病になります。

尿酸の排泄と分解

尿酸プール図
人間は、尿酸を体内で分解して処理することができません。そのために尿酸は、尿のなかに捨てられて体外に排泄されます。尿酸は人間の生命活動から生まれる物質なので、健康人では尿酸が正常に生産され、排泄されています。したがって、尿酸の量の変化を観察することで、健康の度合いがチェックできます。健康な人の体内には、常に約1200mgの尿酸が蓄えられています。これは「尿酸プール」と呼ばれています。尿酸は、毎日、生産と排泄を繰り返し、約5割が入れかわります。体内でどんどん作られる尿酸は、プールに注がれる「給水」、尿といっしょに排泄される尿酸は「排水」にあたります。尿酸の給水と排水の量が同じであれば、プールは常に一定量の尿酸で満たされています。ところが、プリン体の代謝に異常が起こって尿酸が多く作られたり、尿酸がうまく排泄されなくなったりすると、尿酸はプールにどんどんたまって、やがてあふれ出します。一般に、体内に尿酸が1500mg以上たまると、血液中の尿酸値は正常値を超える、と考えられています。尿酸値は、血液を採取して、血液1㎗中に尿酸がどれくらい(何mg)含まれているのかを調べ、数値であらわしたものです。尿酸値は、生活習慣や環境、体質などによって個人差があります。尿酸の正常値は、成人男子=4.0~6.5mg/㎗・成人女子=3.0~5.0mg/㎗とされており、女性のほうが男性より約25%ほど低い数値です。これは、女性ホルモンの影響によるものとされ、更年期を過ぎると若干高くなります。血液中の尿酸が増えて、尿酸値が異常に高くなった場合を 「高尿酸血症」といいます。尿酸値が7.0mg/㎗以上になると高尿酸血症と診断されます。

高尿酸血症の種類

高尿酸血症は、次の3つのタイプに分けられます。

①排泄低下型

日本人の高尿酸血症患者では最も多いといわれてきました。腎臓からの尿酸の排泄量が減るために、体内の尿酸の量が増えます。

②過剰生産型

尿酸の排泄機能は正常に働いているのに、生産される尿酸の量が排泄能力を超えて、体内の尿酸の量が増えてしまうものです。体質や生活環境の影響を受けます。

③混合型

排泄低下型と過剰生産型がまじったタイプで、高尿酸血症患者の約10~20%がこのタイプです。日本人に最も多いタイプは排泄低下型の高尿酸血症ですが、最近は過剰生産型と診断されるケースが増えています。これは、尿酸の排泄能力が低下しても、尿酸が過剰に作られなければ高尿酸血症にはならないのではないかとの考え方が背景にあります。治療を始めるうえで重要なことは、この高尿酸血症の3つのタイプのうち、どのタイプにあてはまるかを知ることで、それにもとづいて治療が進められます。高尿酸血症を引き起こす要因には、生まれもった腎臓の能力が大きく影響します。生まれつき尿酸を排泄する能力が低い腎臓の人は、高尿酸血症になりやすいといえます。

痛風を放置すると痛風結節ができる

痛風が慢性化して、発作をたびたび起こしたり、痛風結節ができるまでに病気が進むと、尿酸が血液中にとけきらずに、関節部にたまって結晶を作ります。この場合、尿酸の総量が正常値の1000倍になることもあります。なお、高尿酸血症や痛風は、原因がはっきり特定できないものが約90%を占めますが、腎障害や高血圧症、動脈硬化、糖尿病などの病気の影響で腎臓の働きが低下すると、尿酸の排泄能力も衰えるために、高尿酸血症になりやすくなります。また、白血病や骨髄腫などの血液の病気やその治療によって、尿酸が過剰になったり、排泄が低下したりすることがあります。これらの場合は、その原因となっている病気を治療し、副作用を起こしている薬の投与をやめれば治ります。痛風の治療を受けるときには、最初にほかに治療を受けている病気や、使用している薬をすべて医師に伝えることが重要です。